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あんぱん
あんぱんのイラストです。食べ物のデザインにいかがでしょうか?あんぱんといえば、あの有名なキャラクターですよね。私も大好きです
ぼくはアンパンマンっ子ではなかった
2025/05/01 運営者みきとのエッセイ
ぼくはアンパンマンっ子ではなかった。
初めてアンパンマンを見たのは保育園。
そのとき、バイキンマンが怖くて怖くて。みんなは楽しく見ているのに私1人だけアンパンマンが好きじゃなかった。アンパンマンを映す日は部屋の隅にいた。
だからアンパンマンのことをよく知らなかった。しかし、大人になって、絵本を作っている。すると、さまざまな媒体で、アンパンマンの作者やなせたかしさんのことを知る。
あるとき、ロマンチストの豚、というやなせ作詞の童謡をきいた。
貧しく苦しい暮らしの中でも、優しさと夢を忘れずに生きていた「ロマンチストの豚」が、ある夜に翼を得て、空へと飛び立ち、姿を消した歌詞。
きっとそれは死を意味するのだ。
この軽やかな歌詞に隠された『死』のテーマに、最初は驚き、そして深い感動を覚えた。
僕は感化され、死をテーマにした作品を作った。子供にはそれが死だとわからず、大人にはわかるような作品。とべないカラスと子供ウサギのちさ吉が消えたお爺ちゃん(亡くなった)と再会するために月を目指す物語。道中で好奇心や世界の美しさに触れ、生きることを肯定するような作品をかいた。
やなせたかしさんは、僕の師匠のような存在だ。面識はないが、作品の中で僕達に遺した沢山のメッセージが僕の背中を押してくれる。
やなせさんはこう語る。
「正義のための戦いなんてどこにもないのだ 正義はある日 突然反転する 逆転しない正義は献身と愛だ 目の前で餓死しそうな人がいるとすれば その人に 一片のパンを与えること」『アンパンマンの遺書』(岩波現代文庫)
戦時を生き抜いた先人の大切な言葉である。
その思いを胸に私も絵本を作る。2度と悲劇を起こさないために。そして豊かな世界を作るために。
ぼくは遅咲きのアンパンマンっ子になった。
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