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河童
日本の妖怪、河童のイラストです。遊んでいると子供を川に引きずり込んだりします。頭の皿は乾くと弱ります。
河童は命の守り妖怪
2025/04/28 運営者みきとのエッセイ
河童との出会いは、幼稚園の頃だった。
怖い話を教えてくれた大人がいた。
当時の幼稚園のトイレはボットントイレだった。
ボットントイレというのは、排泄物を下水に流さず、大きなタンクに溜めておく仕組みのトイレだ。ボットン、と音を立てて落ちるから、そう呼ばれていた。
そこで用を足していると、下から緑色の手が伸びてくる。それが河童なんだよ、と。
今思えば、ひねりのない怖い話だ。
けれど、小さかった私にとっては、それだけで大エンターテインメントだった。
その日から、トイレが怖くなった。
そんな私も大人になった今、ふとトイレを見るたびに、あの河童の話を思い出す。
でも、振り返ってみると、あの話はただ怖がらせたかったわけではないのかもしれない。
トイレは危険な場所だということを、伝えたかったのだろう。
もし落ちたら、不潔な排泄物のタンクに沈んでしまう。無事では済まないはずだ。
本来の河童も、きっとそういう役割を持っていたのだと思う。
「川に河童が出て子供を引きずり込む」という昔話も、川の危険性を伝えるためのものだったに違いない。
川は楽しそうに見えるけれど、急な増水や見えない岩の危険が潜んでいる。命を落としかねない場所だ。
だから、大人たちは河童の話をして、子供たちを守ろうとしたのだろう。
河童は、命を守るために生まれた存在だったのだ。
今では、そんな河童に感謝の気持ちすら湧いてくる。
私たちを守ろうとしてくれていたのだと。
河童に、幸あれ。